あいネット島根 第96号 平成30年10月吉日発行 1.聴覚障がい者の災害対策について考える  近年、地震、台風、豪雨等の自然災害によって各地で被害が相次いでいることから、 当センターとしても災害時の対応について考える機会も増え、利用者や関係団体の皆さ まの関心の高まりも感じています。  そこで当センターの災害対策の現状と考え、今後の課題についてまとめてみたいと思 います。 ?現状と当センターの考え   災害時の支援体制の確立について聴覚センターとしては具体的な動きは今のところあ りません。  関係団体からのご要望として安否確認を、という声もあり、その重要性は聴覚センタ ーとしても充分、認識しています。ただし、聴覚センターが掌握している聴覚障がい者 の方の個人情報は、ライブラリーの利用者名簿に登録させていただいている方など限定 的であり、県内全ての聴覚障がい者のデータを持ち合わせている訳ではありません。  聴覚障がいのみならず障がいのある方に関する個人情報を定期的に更新し、直近のデ ータを即座に活用できるのは地方自治体である市町村です。災害発生時において他に先 駆けて対応にあたるのは地元の行政組織であると言えます。  その上で、全市町村の足並みを揃えるためには島根県の働き掛けが欠かせないものと 考えます。  県の障がい福祉課と県の防災担当課の主導により市町村に対し指導・助言を行うよう な仕組みを整えることが必要であり、そうした体制を確立する過程において、例えば検 討組織の構成メンバーとして聴覚センターへの参加要請があれば積極的に関わっていく ことになると思います。 ?今後に向けて  当センターとして取り組めることを整理し、当事者、関係団体とともにどのような対 策が必要かを考え、行政組織との協議、または提案、要望など、必要な働きかけを行う ことが重要ではないかと考えています。  また、情報提供施設の会議・研修で得たこと、他県の取り組みなど、センターが持ち 合わせている情報を積極的に発信していきたいと思います。 ?聴覚障がい者関連の災害時用グッズ  情報発信のひとつとして、当センターが展示している聴覚障がい者用の災害時に役立 つグッズをご紹介します。 @「手話でどうぞ」、「筆談でどうぞ」「聞こえません」と書かれた蛍光ステッカーや バッジ A「聞こえのサポーター」と書かれたベスト B「耳が不自由です」と書かれた腕章  外見からはわからない「見えない障がい」、「情報弱者」と言われる聴覚障がい者が 情報を受け取り、必要な支援を受けるためには、こうした互いに目印になるものが、備 えてあることが大切といえるでしょう。 --1/4-- 2.おもなできごと (1)設置通訳者・派遣コーディネーター会議&研修会   7月18日(水)、いきいきプラザ島根201研修室で、香川県聴覚障害者福祉セン ター所長太田裕之氏をお招きし、開催しました。  障害者差別解消法施行から2年になりますが、何が差別なのか、合理的配慮にあたる のか?県内では周知がまだまだ行き届いていないようです。聴覚障がい者の皆さんが、 安心して情報を得られるよう、今後も努めていきたいと思います。 (2)意思疎通支援担当者研修会に参加して  「不要不急の外出は控えるように」と気象庁から発表があった7月下旬、暑い京都に 行きました。3日間とても充実した講義でしたが、その中でも島根県は設置通訳者のい ない町村もあり、離島もあることから、いつでも、どこからでも聴覚障がい者が電話が できる電話リレーサービスの講義は興味深く聴講しました。講師を担当された小竹安治 氏には11月に島根でも講演していただく予定(4ページに紹介記事あり)で、今から楽 しみにしています。 (3)県登録要約筆記者研修会  7月28日(土)江津市総合市民センターにて開催しました。手話通訳者・社会福祉士 の長廻芳行氏を講師に迎え、「社会福祉制度の動向と通訳者の心構え」というテーマで 講義をしていただきました。参加者は14名でした。  要約筆記者が社会福祉サービスの担い手として制度の動向を学び、個人ワーク、グル ープワークを通して改めて要約筆記者の役割を考え、気づきの多い充実した研修になり ました。 (4)視聴覚障がい者福祉機器展示会  9月5日(水)大田市主催で「平成30年度視聴覚障がい者福祉機器展示会」が大田 市民センターにおいて開催されました。  聴覚障害者情報センターにある日常生活用具の一部を展示しました。  約50人が来られ、機器を使ってみたり、見学されたり、相談を受けたりしました。  時代の流れに合わせて、日常生活用具の機能があれこれ変わってきています。  みなさん、日常生活用具を試しで使ってみたい場合、聴覚障害者情報センターでお試 し体験できます。 (5)島根県ろうあ者大会兼手話通訳者養成講習会  9月2日(日)県ろうあ者大会の時に、手話通訳者養成講習会の一環で通訳観察を行 いました。通訳環境や通訳者・主催者の動き、ろう者の感想、通訳者に聞いてわかった ことなどの観察実習から、今後通訳者を目指す立場での新鮮な気づきがたくさんありま した。また、「浜田くんの一日」のあるある話も大好評で、有意義な一日を過ごせまし た。関係者の皆さま、本当にお疲れ様でした。 --2/4-- 3.難聴者の聞こえをサポートする“ミライスピーカー”  離れた場所にいてもクリアな音が聞け、難聴者の聞こえをサポートする「ミライスピ ーカー」についてご紹介します。  従来のコーン型のスピーカーは、設置してある場所からの距離の違いによって、聞こ える側には音が大きい・小さいといった差が生じやすい問題点がありました。それを解 消することを目指して開発・商品化されたのが「ミライスピーカー(製造元:株式会社 サウンドファン)」です。  このスピーカーが従来型と大きく違うのは、湾曲させた振動板を介することにより音 を発生させるという画期的な方式を採用し、音のレベルをやや離れた位置にまで一定程 度、均一に保った状態で送り届け、難聴者にも聞こえが良いことが最大のアピールポイ ントであるとのこと。  県内では大田市内の老人福祉施設において既に導入されているほか国内の大手企業、 例えば航空会社では搭乗口でのアナウンス用に、銀行では待合室でのお客様呼び出し用 に、といった活用事例もパンフレットに記載してありました。  詳しい商品案内については、株式会社サウンドファン(SoundFun)のホーム ページでご確認ください。 4.ループヒア101(小型・軽量の簡易ヒアリングループ)  ループ線を使わず本体正面約1メートルの範囲に音声磁場を発生し、少人数の集まり や各種窓口、カウンターなどでのコミュニケーションをサポートします。  バッテリーを使用すれば、電源のない場所でも使用可能、小型・軽量なので持ち運び も楽です。  Tコイル内臓の補聴器をお持ちでない方でも、付属の丸型受信機で音声を拡大して聞 くことができます。(聞こえ方には個人差があります。)  Tコイル内臓の補聴器をお使いの方は、ベルマンミノにネックループを付けて使用し ます。  お気軽に情報センターでお試しください。 5.ミニ個展 7月「七夕飾り」全国手話通訳問題研修会島根県支部(松江・安来・隠岐地区)の皆さ ん(写真) 8月「西ノ島の風景(写真)」大野泰子さん(隠岐郡西ノ島町)(写真) 9月「消しゴムはんこ」島根県西部視聴覚障害者情報センター主催の聴覚セミナーに参 加された皆さんの作品(写真) --3/4-- 6.行事予定 ※他団体主催 10月 4日 難聴者・中途失聴者のための手話教室(出雲) 6日 手話通訳者養成講習会(大田)    要約筆記者養成講習会(浜田) 7日 手話奉仕員・手話通訳者研修会(浜田) 13日※全国手話検定試験(松江) 14日 要約筆記者養成講習会(浜田) 20日 手話通訳者養成講習会(大田) 26〜28日    ※第48回全国ろうあ女性集会(松江) 11月 4日 統一試験のための事前学習会(手話)(大田)    聴覚障がい者のためのセミナー(松江)    IT特別公開講座(松江) 10日 手話通訳者養成講習会(大田) 11日 手話指導者研修会(浜田) 15〜17日   ※聴覚障害者向けソフト制作担当職員研修会(長崎) 17日統一試験のための事前学習会(手話)(松江) 18日難聴者・中途失聴者のための手話教室(安来) 23日※全通研30周年記念式典講演会(松江) 29日※情報提供施設中四国ブロック会議(岡山) 12月 1日手話通訳者全国統一試験(松江) 8日手話通訳者ステップアップ研修会(大田) 15日統一試験のための事前学習会(要約)(浜田) 7.お知らせ (1)情報センター休館について  12月1日(土)は「手話通訳者全国統一試験」のため情報センターは休館いたします。 皆様にはご不便をおかけしますが、どうかご了承ください。 (2)全国統一要約筆記者認定試験事前学習会のご案内  2019年2月17日の試験に向けて、事前学習会を2回開催します。対象の方はぜひご参加 ください。 会場:いわみーる(両日) @12月15日(土)10:30〜15:30  A1月19日(土)10:30〜15:30  (3)平成30年度聴覚障がい者のためのセミナー 「終活ってどんなことをするの?」 ◆日時:11月4日(日)10:00〜12:00【受付9:30〜】 ◆会場:いきいきプラザ島根 4階 403研修室 ◆講師:本多 修 氏 安来市終活支援センター 終活カウンセラー(有限会社本多石材店 代表取締役) 講演のほかに、エンディングノートを書く練習もあります。 (4)平成30年度IT特別公開講座 〜電話リレーサービスについて〜 ◆日時:11月4日(日)13:30〜15:30 ◆会場:いきいきプラザ島根 4階 403研修室 ◆講師:小竹 安治 氏 (電話リレーサービス制度化検討委員会委員/滋賀県立聴覚障害者センター副所長など)  友人・知人で聴覚障がいがあり、スマホやパソコンを使える方に、ぜひこの講演会の ご案内や電話リレーサービスのご紹介をお願いします。  (4)の両イベントとも参加費無料で手話通訳・要約筆記・ヒアリングループあり。 申込方法・お問い合せ先 FAXまたはメールで聴覚障害者情報センターにお申し込みください。 FAX番号0852-32-5961 メールアドレスcenter@shimane-choukaku.jp 8.メルマガ登録者募集  手話・要約筆記付きの行事など、さまざまな情報を月に1〜2回、メールかFAXでお送 りしています。  登録は無料☆簡単!  必要事項を書いてメールするか、申込用紙をFAXしてください。  詳しくはホームページをご覧いただくか、お問い合わせくださいませ。 9.かずかず(7月1日〜9月30日現在) 手話通訳派遣コーディネート 39件 要約筆記派遣コーディネート 20件 リレーサービス 77件 来館者数 578人 --4/4--