あいネット島根 第77号 平成26年1月1日発行 1.年頭のご挨拶  新年明けましておめでとうございます。  皆様には、お健やかに新年をお迎えになったことと、お喜び申し上げます。  旧年中は、当センターの運営にご理解とご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。  本年も変わりませず、よろしくお願い申し上げます。  昨年は、聴覚障がい者を取り巻く大きな動きとして、鳥取県において「手話言語条例」が全国に 先駆け成立しました。  この条例は、県下に手話を普及させるだけではなく、全国にこの取組を広めたいという波及効果 を狙っているとのことです。この手話言語条例ができたことが、国を動かす力となり、全国的な動 きが活発化することを期待したいものです。  また、障害者総合支援法が4月から施行されました。これにより、複数の市町村の住民が参加する 県内聴覚障がい者5団体等の会議・研修などに手話通訳者・要約筆記者等を派遣する業務(派遣、 斡旋、報酬・旅費の支払い)や県外派遣にかかる市町村間の連絡調整や派遣依頼元と依頼先間での 報酬差額超過分の支払いなどを情報センターがおこなうこととなりました。  しかし、国からのガイドラインの提示が遅れたため、実施要綱作成も遅れてしまい、新しく受け た事業について実施が円滑に行えず関係団体の皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしました。 今年からはスムーズに事業展開できるよう努力して参りたいと思います。  今年は午(うま)年「甲午(きのえうま)」、甲午の「甲」は大木、午は馬でダイナミック且つ スピード感があります。まっすぐに勢いよく伸びてゆくイメージです。  この言葉どおり、皆様方にも良い年でありますことを願い、年頭のご挨拶とさせていただきます。 島根県聴覚障害者情報センター所長 山城達也 2.全国初!鳥取県で「手話言語条例」制定  鳥取県で、全国初となる「手話言語条例」が制定され、平成25年10月11日施行となりました。 この条例は手話がろう者の言語であるとの認識に基づき、手話で生活できる社会環境を整備し、 県民が尊重しあいながら共生する地域社会の実現を目指す条例です。県と市町村に手話が使い やすい環境づくりを義務付け、県民向けの講座や小中学校での手話教育に取り組むこととされ ています。また事業者には聴覚障がい者が働きやすい環境整備を求めました。  平井伸治鳥取県知事は、インタビューで「一県内とはいえ、このような条例ができたことは 『はじめの一歩』であり、他の地域や国が同じような志で立ち上がってもらえるよう呼びかけ たい。勇気を持って行動を起こすことが大切。」と語っていました。  具体的な取り組みを行う上での課題や手話以外の意思疎通支援への取り組み等、今後も検討 が必要なことはあると思いますが、まずはこの条例が先駆けとなって全国に広がることを期待 したいと思います。 --1/6-- 3.おもなできごと&研修報告 (1)手話指導者研修会  10月6日(日)大田市民センターで「手話奉仕員養成」をテーマに研修会を開催しました。  県内の手話奉仕員養成を担当しているろう講師、健聴講師の10名の参加があり、「基礎課程」 の指導方法について学びました。まず手話表現の8つのポイントを確認し、各講座のねらいに沿っ て指導することが大切であると再確認しました。各講座の指導案を作成し、それに基づいて模擬 指導を発表し、意見交換や、日ごろの悩みを出し合ったりしながら有意義な研修ができたと思い ます。  来年度から新テキストに移行するため、改めて地域での指導の差がないように学んでいく必要 があると思いました。   (2)手話通訳者ステップアップ研修会  11月24日(日)、今年度3回目の手話通訳者ステップアップ研修会を浜田市で開催しました。 学習のテーマは「労働場面」で、「職業準備性」についてと「障害者雇用促進法の改正について」 の講義を聞き、支援する場合の心構えと現在の法律の変更点などを学びました。  実技は、ろう講師の労働に関わるビデオの読み取りや、現在の仕事についてのお話を聞いたあと に、それについてコミュニケーションをとりました。また、「マンガで読む手話通訳事例集」を使 って、事例検討も行いました。  参加者7名と少なかったのですが、盛りだくさんの研修で、それぞれが意見を発表したり、読み 取りをしたり、ろう講師とコミュニケーションを取ったりと、個々の力を出すことができた研修だ ったと思います。   (3)手話通訳者養成担当講師リーダー研修会  11月9日(土)・10日(日)米子市で手話通訳者養成講習会の新テキスト移行による研修会が開 催され、島根県から2名(ろう講師 健聴講師)が参加しました。  平成11年から始まった「手話通訳者養成講習会」が導入後15年を経過し、平成26年度から新テキ ストに移行することになりました。それに伴って新しい指導の流れや新テキスト(今回は「手話通 訳養成T」のみ。来年度以降は「手話通訳養成U」の研修会開催予定)の基本的な考え方を詳しく 説明されました。  従来はまず手話表現から学んでいましたが、新テキストでは、ろうあ者の手話を学ぶことから始 め、読み取りから聞き取り通訳を身につけ、通訳派遣の実態に合わせた学習課題を学んでいくとい う方針が示されています。登録して現場に出た時にきちんとした対応のできる通訳を養成するとい うことが目的となっているということでした。  島根県では現在、手話通訳者養成講習会が25・26年度の2年間の受講となっていますので、新テ キストに移行するのは27年度からとなります。 (4)手話通訳士現任研修  この研修が島根で開催されるのは珍しく、ぜひにと思った島根の方を中心に10人前後のこぢ んまりした研修でした。  受講者は前もって医療課題のレポートを作成し、11月16日はそれを基にしたグループ討議、講 義、ビデオによる事例検討、ロールプレイと盛りだくさんでした。17日は政見放送研修で、講義 あり、実技あり、話し合いありの頭をフル稼働させた2日間でした。  人の話を聞く、批判しない、コミュニケーションを取るといった基本的な態度についても注意 するよう説明がありました。研修で学んだことはたくさんあります。また今日からがんばろうと いう気持ちになれた有意義な研修でした。 --2/6-- (5)ソフト制作担当者研修会  11月13日〜15日の3日間、福岡県で開催された研修会に参加しました。1日目の会場は、300人も 収容できるホールで、株式会社三友によるデモ機が設置されていました。これは、3台のカメラを 1人で操作し、話者と通訳者を同じ画面に配置し、投影することができるものでした。  その他、聴覚障がい者支援に関する取り組みとして、NICTの葦苅(あしかり)氏より、音声認識 の現状とスマホのアプリ「こえとら」の紹介と、字幕サークル「おむすび」による取り組みについ ての発表がありました。  2日目は、基礎と応用の2コースに分かれて学び、最終日は、最近の取り組みとして、改正著作 権法や電話リレーサービスについて説明がありました。今回、学んだことを今後の映像制作に活か して、よりよい作品が出来るように努力していきたいと思います。 (6)手話通訳者全国統一試験のための事前学習会  12月7日に実施された「手話通訳者全国統一試験」受験を目指す人たちのための「事前学習会」 を今年度は9月14日(土)、10月5日(土)、10月27日(日)の3回開催しました。  要約試験の学習として、過去の試験問題や読み取りのDVDを利用して試験当日と同じ流れで要約 する練習を行いました。場面通訳試験の学習として、様々な通訳場面を想定してろう講師がろう 者役をし、受講生が通訳役をするという形で場面通訳の練習をしました。  3回目の学習会では実際の試験会場で場面通訳を行い、試験の会場の雰囲気を再現するという形 で行いました。 (7)平成25年度手話通訳者全国統一試験  12月7日(土)午前10時から全国一斉に試験が実施されました。  午前中の筆記試験は「手話通訳者に必要な基礎知識」と「国語」、午後の実技試験は「手話の 要約(筆記)」と「場面通訳(場面における聞き取り及び読み取り通訳)」という内容でした。 大変な緊張の中で受験者の皆さんは長い1日の試験に挑戦されました。  島根県では現在64名が手話通訳者として県登録されていますが、実際に活動できる方は不足し ている状況です。今回の受験者の中からできるだけ多くの手話通訳者が誕生し、登録手話通訳者 として活動していただきたいと思っています。 (8)要約筆記者移行講習会修了  平成25年5月から32時間のカリキュラムでスタートした要約筆記者移行講習会では、松江会場 10名、浜田会場10名の方が修了されました。今後は、社会福祉事業従事者として、専門性や倫理 観が求められてきます。誰のための要約筆記なのかを常に念頭において今後の派遣や活動に携わ っていただきたいと思います。  まだ、受講されていない奉仕員の方は平成26年度、ぜひ、ご参加ください。 (9)要約筆記スキルアップ学習会&全国統一要約筆記者認定試験について  2月23日(日)に実施する認定試験に向け、平成25年度は、3回学習会を計画し、1回目を12月 に実施しました。受験にあたっての心構えや、基本的な表記の確認をしました。参加者全員の ロールやPC入力について添削もしましたが、時間に限りがあったため、細かい部分までは添削 できませんでした。次回も、添削の時間を設けていますので、ご参加いただき、試験に向け頑 張っていただきたいと思います。 --3/6-- 4.道路交通法の一部が改正され、12月1日に施行されました (1)自転車が道路右側の路側帯を通行することは禁止となりました。  これまで、路側帯は左右のどちら側でも通行できましたが、改正後は左側の路側帯しか通行でき ません。 →右側の路側帯を通行した場合… 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金  左側だけの通行となったのは、自転車同士の衝突や接触事故の危険を防ぐためです。自転車は車 両の一種ですので、自動車と同じ左側通行となります。 路側帯とは、歩行者の通行のため、歩道のない道路の路端寄りに設けられた帯状の部分のことです。 (2)ブレーキに不備のある自転車に対して、警察官の指導が強化されました。  警察官は、所定の安全基準を満たしているブレーキを備えていないまたは整備不良が確認された 場合、自転車を停止させ検査すること、応急措置をとること、運転中止を命じることができるよう になります。 →検査や命令を拒否、妨害した場合… 5万円以下の罰金 (3)無免許運転、無免許運転を命じたとき・容認したとき、免許証の不正取得に対する罰則が強化 されました。  改正前は、1年以下の懲役または、30万円以下の罰金。  改正後は… →3年以下の懲役、または50万円以下の罰金 (4)無免許運転の幇助(ほうじょ)行為が禁止となりました。 →無免許運転をするおそれのある者に自動車・原動機付自転車を提供し、提供を受けた者が無免許 運転をした場合… 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 →無免許運転であることを知りながら、運転者に自動車・原動機付自転車に自己を乗せてくれるよ う要求・依頼して同乗した場合… 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 【幇助(ほうじょ)】とは、「手伝う」ことを意味します。他人の犯罪行為を容易にするため、実 行行為以外の方法で犯罪に手を貸すことをいいます。 --4/6-- 5.おしらせ ■新しいDVD  1.ハートネットTV NHKハート展 叱られたとき(29分)  2.ハートネットTV みつえとゆういち -親子で紡ぐ“認知症”漫画-(29分)  3.補助犬ってなぁに?【寄贈】(約19分) ■情報センターのホームページで日常生活用具の紹介を始めました  島根県聴覚障害者情報センターが所有・展示している、聴覚障がいのある方の生活に役立つ機器 を写真付きで紹介しています。 ホームページの最初の画面から、「情報機器利用案内」→「日常生活用具の紹介」と進んで、目的 に合った項目をクリックして、見てみてくださいね。まだ準備中の項目もありますが、順次掲載し ていく予定です。 ■視聴覚障がい福祉機器展示相談会  見えにくい(見えない)方、聞こえにくい(聞こえない)方の生活に役立つさまざまな機器の展 示と利用相談を行います。  平成26年1月19日(日)10:00〜15:00  浜田市立中央図書館 2階 多目的ホール(浜田市黒川町3748-1)  参加無料♪・申込不要  ご家族や福祉関係機関・団体の方、福祉機器に興味のある方も自由に参加できます。  主催:島根県西部視聴覚障害者情報センター ■福祉講演会のお知らせ  平成26年2月2日(日)10:00〜12:00   いきいきプラザ島根3階 301・302研修室  テーマ:「生活習慣病の予防について」  講師:厚生センター晴雲寮 看護師 佐藤 奈巳 氏 ■利用者交流会のお知らせ  平成26年2月2日(日)13:30〜15:30   いきいきプラザ島根4階 調理室・404研修室  テーマ:「簡単なお菓子づくり」  講師:中村 美成子 氏(手話通訳者) 福祉講演会と利用者交流会の案内と申込書を同封しています。 皆さまの参加をお待ちしています♪ ■日本語字幕付映画情報  ・『永遠の0』 出演:岡田准一、三浦春馬、井上真央 ほか  ゼロ戦パイロットの悲劇を描いたベストセラー小説を映画化した戦争ドラマ。  松江東宝5 1月19日(日)〜22日(水)  ・『劇場版 HUNTER×HUNTER -The LAST MISSION-』  松江東宝5 1月23日(木)〜25日(土) --5/6-- 6.行事予定(※は他団体主催) 1月 11日 手話通訳者養成講習会(大田)    要約筆記スキルアップ学習会(大田) 12日※島根県ろうあ連盟福祉講演会・新年会(出雲)   ※島根県難聴者協会新年会(出雲) 18日 手話奉仕員等研修会(江津) 26日 手話指導者研修会(浜田) 30日※全聴情協中四国ブロック会議 2月 1日  手話通訳者養成講習会(大田) 2日  要約筆記スキルアップ学習会(大田)    福祉講演会・利用者交流会(松江) 9日 手話通訳者ステップアップ研修会(出雲) 15〜16日※第30回全通研討論集会(大阪) 23日 全国統一要約筆記者認定試験(松江) 3月 1日 ※手話通訳者養成講習会(大田) 15日 手話通訳者養成講習会(大田) 22〜23日※手話通訳者養成講師団会議・研修会(出雲) 7.ミニ個展 10月 エプロン・かばん等(余村美重子さん・松江市) 11月 パッチワーク作品(齋藤一子さん・松江市) 12月 トールペイント・ポーチ(油谷米子さん・安来市)   8.情報機器を利用される皆さまへお願い  当センターで貸し出しを行っている情報機器は大変高価なものです。破損がないよう十分 注意し、大切に取り扱ってくださいますようお願いいたします。  特に、磁気ループ等のコード類やケーブル等は、ねじれや潰れがないようにしてください。 スクリーンの上げ下げは、無理に行ったり、雑に扱ったりすると投影面に傷がつく恐れがあ ります。ゆっくりと行ってください。 ※貸し出しした機器が破損した場合または紛失した場合は、弁償していただきます。 9.かずかず(10月1日〜12月25日現在) 手話通訳派遣コーディネート 37件 要約筆記派遣コーディネート  17件 盲ろう者通訳・介助員派遣コーディネート 19件 リレーサービス        80件 来館者数           543人 10.最後に 通訳付き行事や字幕付映画のお知らせが届くメールマガジン(FAXでもOK)の登録者も 随時募集 しています。まだ登録されていない方、ぜひお申し込みください。 【編集後記】  カレンダーにも12月24日は「クリスマスイヴ」とよく記載されていますよね。でも本当は、 「クリスマスイヴ」とはクリスマスの「前夜」を指す言葉で、「今日はクリスマスイヴだね〜」 という表現は、間違っているのです。23日のことを「イヴイヴ」と表現したり…日本人独特の 考えで、本当とはちょっと違ういろんなことが定着していておもしろいな、と思います。 --6/6--